「USJを劇的に変えたたった一つの考え方」まとめレポート③
画像:amazon
30%→97%
この数字は、USJにおける新規事業の成功率の過去と現在の比較である。
つまり現在、USJが仕掛ける新規事業はほぼ成功するといっていい。そして、この驚愕の成功確率は、「たった一つの考え方」によるものだという。
その考え方についてマーケティング的視点からまとめられたのが、本書「USJを劇的に買えたたった一つの考え方」(株)ユー・エス・ジェイCMO 森岡毅著である。
従来のマーケティング本よりも、より実践的かつUSJのヒットの法則や成功事例に基づいているため、説得力が強い。マーケターのみならず、会社経営、広告・販促活動にたずさわる多くのビジネスパーソンにとって一読すべき書籍であると感じた。
本書のなかから、特に印象に残ったマーケティングフレームワークについて要約レポートをしてみる。
マーケティングフレームワーク
戦況分析によって、もたらされる情報資源を土台にして、
目的→目標(WHO)→戦略(WHAT)→戦術(HOW)を決定する
【戦況分析】一般的な戦況分析=5C分析
Company(自社の理解)
3つの理解が不可欠。「自社の全体戦略を理解すること」、「自社の使い
うる経営資源をできる限りたくさん把握すること」「自社の能力や性格として
の特徴(強み・弱み)を把握すること。
Cosumer(消費者の理解)
消費者を量的に理解すること(数値データを用いて広く全体像を理解する)と、
消費者を質的に理解すること(質的調査などを通して消費者の深層心理に迫る)
=消費者インサイトの2つが必要。
Customer(流通など中間顧客の理解)
流通などのように自社と消費者の間にいる存在の理解。協働して市場価値を作り
上げるパートナーであり、市場価値のパイを奪い合っている競合ともいえ、中間業者
の理解が店頭を制するマーケティングに重要となる。
Competitor(競合他社の理解)
ライバル社の研究だけでなく、広義においての競合理解が必要。自ブランドが消費者
に提供している価値は何か?を理解すれば、競合の姿が明らかになる。
Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)
社会がビジネスに与える様々な外部要因のことをCommunityと言う。法律などの規制、世論、税率、景気、為替レートなど、多くは自社でコントロールできないもの。
【目的】適切な目的設定のための3つのポイント
1 実現可能性
適切な目的とは「高すぎず低すぎず」という相反する条件を満たす。ギリギリ届く高さの目的を狙う。
2 シンプルさ
要素がたくさん含まれる複雑な目的設定は機能しない。人が理解できる、
覚えられる、すぐに思い出せることが大切。
3 魅力的かどうか
人が気持ちを入れられる魅力的な目的の設定は、人的資源を激増させる
ことができる。
【WHO①】 誰に売るのか?を考える上でのポイント
戦略ターゲットとコアターゲットを設定する
戦略ターゲットとは
ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくり。(テレビCMの投下範囲など)
コアターゲットとは
戦略ターゲットのなかで、さらにマーケティング予算を集中投資する消費者のくくり
【WHO②】コアターゲットを見つける6つの切り口
①ペネトレーション
カテゴリーの中で自分ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはいないか?
②ロイヤルティ
既存使用者のなかでSOR(Share Of Requirements)を伸ばせるグループはいないか?
③コンサプション
既存使用者の中で1回あたりの「消費量」を増やせるグループはいないか?
④システム
既存使用者の中で使用商品の種類(SKU数)を増やせるグループはいないか?
⑤パーチェス・サイクル
既存使用者のなかで購入頻度を上げる理由を作れるグループはいないか?
⑥ブランドスイッチ
競合ブランドの使用者の中にブランド変更の可能性の高いグループはいないか?
【WHO③】2つの消費者インサイト
コアターゲットを定めたら、コアターゲットの深い深層心理を探る=消費者インサイトを見つける。消費者インサイトとは、消費者ニーズとは違い、指摘されてはじめて本人が気づくような「消費者の隠された真実」のこと。インサイトを衝かれること消費者は自社ブランドのベネフィット(商品便益)を大幅に理解しやすくなったり、欲しくなったりする。
マインド・オープニング・インサイト
(消費者の認識を大きく変える)
ハート・オープニング・インサイト
(消費者の感情を大きく動かす)
【WHAT】=自ブランドの消費者価値を選ぶ
ブランド・エクイティー(消費者がブランドに対してもつ一定のイメージ)のなかで、消費者がブランドを選ぶ強い理由になっている根元的な便益がWHATとなる。
【HOW】=WHOにWHATを届けるための仕掛け
HOWは、消費者の目に触れるブランドにまつわるほぼ全ての要素
(製品、パッケージ、TVCM,WEB、価格戦術、流通戦術)
最も重要なのは、HOWよりもWHOの理解。深く理解した消費者の視点からHOWを判断すればよい。