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中を見せずモノを売る!未知マーケティングまとめ

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   未知マーケティングとは、日経MJが名づけたマーケティング手法で、あえて中身を隠して商品を売る手法のこと。消費者は、開けるまで何が出るかわからなず、ドキドキ、ワクワクしながら商品を選ぶ体験が味わえます。
    この未知マーケティングは、フジテレビ「ワイドナショー」でも取り上げられ、番組ではTSUTAYAの「NOTジャケ借」を例に、あたらしいサービスの魅力が議論されました。
    現在、DVDレンタルのほか、書籍や旅行商品などにも用いられ話題となっているこの手法、世の中の未知マーケティングはいま、どんなふうになっているかを調べてみました。

 

なぜいま未知マーティングなのか?

 

  「消費者のニーズをとらえ、ニーズに即した商品を提供する。」というのが、従来までの教科書どおりのマーケティング手法でした。しかし、市場が成熟し、商品のコモディティ化(同質化)が進んでいくと、いくら消費者ニーズをとらえた商品を開発しても、すでに市場に同類の商品があふれかえっている状況で、企業も他社との差別化を明確に打ち出せず、選ぶ消費者自身も、どれを選んでいいかわからない、といった状況にっています。
    また、消費者の過去の検索履歴から、興味に即した広告が配信されるWEBマーケティングも一般化し、消費者にとっては、身の回りにいつも自分が興味のあるものだらけの状況が進みつつあります。

   つまり、自分がほしい(ほしかった)商品がいつも目の前にある状況が、当たり前になりすぎて、一方で本来購買の楽しさであったはずの「ドキドキ感」「ワクワク感」が薄れていったことが、未知マーケティング台頭の背景だといえます。


タイトルを隠して文庫本を売る

 

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http://mixuply.com/paperback-xより


    岩手県さわや書店がはじめた、文庫本の未知マーケティング、その名も「文庫X」。

書店が事前に明らかにしているのは、以下3つの情報だけ。


①「価格(税込み810円)」

②「ノンフィクション」であること

③「500ページ以上」ある本だということ。


    それ以外は、文庫本の表紙をカバーで覆って、ビニール袋でつつんでいるため、中身とタイトルなど、本来書籍に必要となる情報を開示せずに販売するという、従来では考えられなかった手法です。

    ところが、実際に導入した結果は、朝日新聞デジタルの記事によると、これまでこの本の売れ行きが月2,3冊だったのに対して、仕入れた60冊は5日間で売り切れ。その後約4ヶ月間で4500冊以上売れたというから驚きです。

 

 


キャッチコピーのみでDVDをレンタル

 

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http://tsutaya.tsite.jp/feature/movie/campaign/not-jyakegari/ より


    また、ワイドナショーでも紹介されたTSUTAYAのあたらしいレンタル手法「NOTジャケ借」ではパッケージには、タイトル、写真、キャスト、監督など、本来あるべき情報は一切なし。唯一の手がかりは、映画のジャンルとその映画を表現した数行のキャッチコピーのみ。

 

運用ルールとしては、以下のようなものを取り決めています。

①ラインナップは53作品

②映画レビューサイト「フィルマークス」で★3.7以上の作品


    といったルールで、展開されています。レンタルの際に、作品名を教えてくれるため、過去借りた作品を2度借りてしまうといったトラブルも回避できるそうです。あたりはずれはあるのでしょうが、映画作品との新しい出会い方を創出してくれることには間違いないサービスです。

 


社長のお勧めで1万円分の本を売る!

 


   北海道にあるいわた書店の岩田社長がはじめたサービスです。HPでは、忙しくって本屋にいけない、最近同じような本ばかりで出会いが・・・、などなど読書難民のあなたの為に社長の岩田がお薦めの本を(だいたい)一万円分選んでお届けするというサービスです。と紹介されています。

 

実際に選書の流れとしての説明には、

①なるべく詳しいカルテを送っていただく。
②それをもとに岩田がじっくり選書する。
③見積もり(リスト)を出しOKなら入金手続きをお願いする。
④ささやかなお手紙を添えて、お届けいたします。

※選書は『カルテを記入できる』ことが条件となっておりますので、申し込
み可能年齢は『高校生以上』とさせていただきます。

※同じ理由から『プレゼントしたい』時も、ご本人によるカルテの記入が
必須となっております。


となっています。社長が一冊一冊、読者の顔を想像しながら、選書している姿が目に浮かぶような、とても丁寧なサービスであると感じます。
現在このサービスは、大変多くの申込みで、年に数回の抽選方式となっているようです。どれだけものが売れないという時代でも、いいサービスには、ちゃんとお客さんがつく好例ですね。

 

まとめ

 

    思えば、お正月のニュースをにぎわせる百貨店の福袋も、そもそも未知マーケティングだったんでしょうけど、今や普通に中身を見てから買うことが当たり前になっていて、どちらかといえば値段競争になりつつあるのが、少し残念です。
   未知マーケティングを調べていくと、今の時代、消費者のニーズに即したものが、必ずしも消費者が買いたいものではないことがわかりました。これから考えていかないといけないのは、人がモノを買うときの気持ち原点「ドキドキ・ワクワク」感であって、
そこから発想した商品・サービスがますます求められていくのではないでしょうか。